書き換え、表記の統一。(1)助詞・接続詞ほか

このページでは助詞や接続詞の書き換え、時間や年月日の表記の統一方法について見ていきます。

わたし「は」「が」? 主語の問題

日本語に慣れていない人が、頭を悩ませることが多いとされる主語の助詞問題。「わたしは」と「わたしが」の違いが分からない、という声をたびたび耳にします。やさしい日本語ではどのように扱うべきでしょうか。

主語を表すときは助詞の「~は」を使うことが適切です。その理由は、日本語初級学習者が、主語を表すときの助詞として「~は」を最初に学習するからです。

(中略)

「やさしい日本語」では「~は」の使用を推奨しますが、「~が」も同じように使うことができると考えます。このような理由から(中略)「~が」と「~は」の使用について制限を設けないことにしました。

生活情報誌作成のための「やさしい日本語」ガイドライン|2017年3月|弘前大学人文社会科学部社会言語学研究室

主語につく助詞が「は」なのか「が」なのか。その違いは日本語を母国語とする人でも容易に説明できるものではありません。しかし、長年日本語を使っていることで、感覚的に判断することはできるようになっています。たとえば、有名な桃太郎の冒頭です。

「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさん住んでいました。おじいさん山へ芝刈りに、おばあさん川へ洗濯に、行きました。」

ここで太字にした「が」と「は」を反対にしたら、日本語に慣れている人ならほとんどの人が違和感を覚えるのではないでしょうか。

このように、「は」と「が」の使い分けについては、ある程度は感覚に頼ることができます。個々の文章や全体の流れなどを考慮して適切な方を選びましょう。

方向を示す助詞は「へ」一択

「おじいさんは山へ芝刈りに」行きましたが、山への「へ」は方向を示す助詞です。方向を示す助詞はほかに「に」や「で」があります。「山に行く」「山で刈る」などです。

方向を表す場合は、「へ」を用いてください。「に」や「で」は用法が数種類あるのに比べ、「へ」の用法は方向を示す1種類のみだからです。

(例)川に 行かないで ください → 川へ 行かないで ください

生活情報誌作成のための「やさしい日本語」ガイドライン|2017年3月|弘前大学人文社会科学部社会言語学研究室

方向を示すときに使う助詞は「へ」で統一しましょう。

助詞・接続詞の書き換え

横浜市では助詞・接続詞などの書き換えを一覧にしています。

(書き換え前)(書き換え後)(例文)
または(又は)か、や提供または使⽤⇒提供や使⽤
よりから理由により⇒理由から
のみだけ法⼈のみ⇒法⼈だけ
につき好評につき⇒好評で
にて明細票にて⇒明細票で
もしくは(若しくは)か、や策定もしくは改定⇒策定や改定
あたり(当たり)1世帯あたり⇒1世帯で
場合とき場合があります⇒ときがあります。
なお(削除)なお、この制度が⇒この制度が
および(及び)(削除)や、(読点)加⼊した⼈及び、75 歳になる⼈⇒加⼊した⼈、75 歳になる⼈
「やさしい⽇本語」で伝える 第4版|2017 年4⽉|横浜市 国際局政策総務課、市⺠局広報課

時間、年月日の表記

推奨されている表記を確認しましょう。

2020年6月4日

午前9時から午後6時まで

「やさしい⽇本語」で伝える 第4版|2017 年4⽉|横浜市 国際局政策総務課、市⺠局広報課

この表記で意識されているのは次の点です。

・元号を使わずに西暦を使う

・年月日の表記に「/」は使わない

・12時間表示を原則とし、午前・午後を明記する(24時間表記でもよい)

・「○○から△△まで」と表記する(「~」は誤解を生むため使用しない)

「やさしい⽇本語」で伝える 第4版|2017 年4⽉|横浜市 国際局政策総務課、市⺠局広報課

時間や年月日は注意しないと、実は色々な書き方ができるものです。これらのルールを意識して、表記が全制作物を通して統一されていることを心がけましょう。

最後に日本の制度上、公用文などでも登場することの多い「年度」についての扱いです。

「年度」を使うことが必要な場合

できる限り具体的に「○○年○月○日から△△年△月△日まで」と記載します。

「年度」を使うことが必要な場合は、最初に言葉が出てきたときに説明します。

「やさしい⽇本語」で伝える 第4版|2017 年4⽉|横浜市 国際局政策総務課、市⺠局広報課

Posted by reisuzuki1976